金粟如来

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    南方熊楠(1867年~1941年)は自身を金粟如来(きんぞくにょらい/こんぞくにょらい)第三仏と自称しました。

    金粟如来は、維摩経に登場する維摩居士の前身。
    維摩居士は、前世は金粟如来という仏であり、衆生を導くために生まれ変わった姿だとされます。

    在家のまま仏教の教義を体得した維摩居士は、釈迦の出家の弟子をやりこめます。

    金粟如来が維摩居士に生まれ変わり、また次に生まれ変わったのが熊楠である。

    在家のまま出家者以上に仏教の教義を体得しているという自負が熊楠に金粟如来を自称させたのでしょう。



    金粟如来

    南方熊楠の手紙:"南方マンダラ",「不思議」について,その他(現代語訳8)
    そして、金粟は海外で学問すること久しく、そんなことの暇がなかったから、なんとなくそのことなく、今となっては、それを知らなかったからこそ、学問は面白くできたと喜んでいるのだ。それもでき、学問もできる人はなおよい。

    南方熊楠の手紙:"南方マンダラ",「不思議」について,その他(現代語訳10)
    ただし金粟如来は、過去に無類に善を修めたので、今生ですでに、仏の身体にそなわっていたすぐれた特徴をみな具えている(ただし、最近の過去に親のすねをかじったから、今生で歯がみなそろわないのは遺憾だ。しかしながら、その代わりにまた禁戒守るとしもなけれども堅固にして、その功徳で、一物の大きなこと。それはかの釈迦のが須弥山を7巻き半めぐって余りあり、頂から紅蓮が咲き開いて、その精進を黄門〔※中性者、完全な男根を具えぬ者※〕なためかと怪しんだ卑劣下根な宮女たちを感嘆させたものにも劣らないものだ。金粟がこのような大物を持ちながら、一度も帰根斎のようなことがないのは、米虫がもっとも強くあこがれ慕うべきところである)。。

    南方熊楠の手紙:"南方マンダラ",「不思議」について,その他(現代語訳13)
    ただし、ルターが率先して尼を妻としてみせたのと事情は変わり、金粟はすでに無形の法喜を妻としているから、この上は一生浄行で果てるのだ。

    南方熊楠の随筆:猴に関する伝説(その9)
    その てい 南方先生外国で十五年仙人暮しで大勉強し、ロンドン大城の 金粟如来 こんぞくにょらい これ後身と威張り続け、大いに学者連に あが められたが、帰朝の際ロンドン大学総長から もろ うた金を船中で飲み尽し、シンガポールへ著きて支那料理を食いたいが文なしの身の上、金田和三郎氏(只今海軍少将か大佐)に打ち明かし少々借り倒して上陸し、十町も過ぎぬ間に天草生まれのへちゃ芸妓を見て曰く、美にして艶なりと、たちまち鼠色の よだれ を垂らし、 久米 くめ 仙人を現じて車より ち掛ったに異ならず。


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