紀州俗伝(現代語訳3-9)

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紀州俗伝(現代語訳)

  • 3-1 師走狐
  • 3-2 狐の仕返し
  • 3-3 ホタル来い
  • 3-4 雀と燕
  • 3-5 今生まれた子限り
  • 3-6 カイコの舎利
  • 3-7 月の8日
  • 3-8 欲深いシャレ
  • 3-9 2つの鐘
  • 3-10 比丘尼剥
  • 4-1 師走狐の鳴き声
  • 4-2 雨乞いの池
  • 4-3 フクロウと天気
  • 4-4 ホタル来い
  • 4-5 鰹鳥
  • 4-6 宵の蜘蛛、朝の蜘蛛
  • 4-7 他人の足の裏
  • 4-8 狐と硫黄
  • 4-9 早口言葉
  • 4-10 狼を山の神と
  • 4-11 女に化けるアナグマ
  • 4-12 葉巻煙草
  • 4-13 一文蛤
  • 4-14 高野山の井戸
  • 4-15 蝸牛の囃し詞
  • 4-16 壁の腰張り
  • 4-17 ムカデとマムシ
  • 4-18 足のしびれを直す方法
  • 4-19 熊野詣の手鞠唄異伝2
  • 4-20 人買い
  • 4-21 ホオズキ
  • 4-22 玄猪
  • 4-23 茶釜の蓋
  • 4-24 コオロギの鳴き声
  • 4-25 トンボ捕り
  • 4-26 そばまきとんぼ
  • 4-27 木偶茶屋
  • 4-28 七つ七里
  • 4-29 油虫

  • 3-9 2つの鐘

     

    鐘
    Daihikaku Senkoji bell / MShades

     湊村磯間村夷の鼻という磯の前に旗島がある。田辺権現が船に乗りこの浦に来たとき、旗を立てた所と言う。夷の鼻辺りに大波が来れば鐘の音がする所がある。闘雞社(田辺権現)内に以前松雲院という寺があり、そこに釣ろうとして鐘を2つ作り、船に積んで来たが、ここで雌雄のうちの1つが沈んだ。それが海底で鳴ると言う。

    さて残る1つを寺にかけたが、つれあいを求めて鳴らぬ。八十貫目もある物が不用と来たので、永く境内白身木の下に雨ざらしに伏せ置いたのを、今は片付けてしまった。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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