紀州俗伝(現代語訳2-12)

紀州俗伝(現代語訳)

  • 1-1 和尚に化けるキツネ
  • 1-2 除夜のお風呂
  • 1-3 吃りの真似
  • 1-4 熊野詣の手鞠唄
  • 1-5 熊野詣の手鞠唄異伝
  • 1-6 指が腐る
  • 2-1 小児の陰腫
  • 2-2 見た者カラス
  • 2-3 餅と塩
  • 2-4 栗の毒
  • 2-5 歯痛のまじない
  • 2-6 牧野兵庫頭
  • 2-7 耳の赤い猟犬
  • 2-8 閾の上を踏む罪
  • 2-9 卵の殻
  • 2-10 白花の紫雲英
  • 2-11 井戸に落ちた子
  • 2-12 大塔山
  • 2-13 鵁○の嫁入り
  • 2-14 ノミを取る人取らぬ人
  • 2-15 夜に爪を切る
  • 2-16 感冒
  • 2-17 盗人
  • 2-18 なた豆
  • 2-19 黒猫

  • 2-12 大塔山

     東西牟婁にまたがっている大塔峯(※大塔山※)は、海抜3870尺(※1122m※)、和歌山県で最も高い山と言う。

    所の者が伝えることには、この山に大塔宮(※護良親王※)が隠れ御座したとき、山から流れ出る川の川下の住民が、水辺に灯心草が生えているのを見て、これは泔汁(※米のとぎ汁?※)の流れる所にだけ生ずる川上に必ず人がいるだろうといって、宮を捜し出しにかかったため、宮は他所へ落ち延びなさったと。

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    「紀州俗伝」は『南方随筆』(沖積舎) に所収。

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