原摂祐

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  • 原摂祐(はら かねやす)

    原摂祐(1885〜1962)。植物病理学者、菌学者、昆虫学者。
    昆虫寄生菌に関して先駆的な研究を行ないました。

    3大奇人と評された南方熊楠(1867~1941)が原摂祐のことを「大分変な人」と評するくらいですから、そうとう変な人だったのでしょう。



    原摂祐

    南方熊楠の手紙:履歴書(現代語訳39)
    日本の学者に、小生が呆れるほど、小生よりもまだ世の中のことに疎い人が多い。名を申すのはどうかと思うが原摂祐(かねすけ)というのは岐阜の人で、独学で英、仏、独、伊、拉の諸語に通じ、前年まで辱知(※じょくち:知り合いであることを謙遜していう語※)白井光太郎教授の助手として駒場農科大学にいたが、白井氏の気に合わず廃止となり、静岡県の農会の技手である。この人に2500円あれば、年来研究の日本核菌譜を出版し、内外に分つことができる。しかしながら世の中のことに疎いので今だ資金を出してくれる人がいない。

    小生が何とかして自分の研究所確立の上その資金を出したく思うけれど、今のところ力が及ばず、小生が在京中に申した処女の薬に感心されていた鶴見局長(今は農務次官?)の世話を頼み、啓明会から金を出してもらおうと小生がいろいろ世話したが、氏本人がだいぶん変わった人で、たとえば資金補助申請書に添えて身体診断証を出せといわれると、今日健康でも明日どんな死にあうかもしれず、無用のことである、などと言い張るゆえ、出るはずの金も出してくれない。

    この人が東京に出て来て小生を旅館に訪ねたとき、その宿所を問うたところ、浅草辺だけれど下谷かもしれず、酒屋のある所であるなど、ぼんやりとしたことを言う。こんな人にじつは世界に聞こえている大学者が多い。小生は何とぞこのような人の事業を補成して国のために名を挙げさせたいが、今だ思うだけで力が及ばないのは遺憾です。この人はよほど小生を頼りにしていると見え、前年みずから当地へ小生を来訪されたことがある。


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